院長の山田 大です。以前ブログでも紹介しました、千鳥ノブさんが椎骨動脈解離という病気に関する新しい論文が出ました。

この病気は、30台~50台の女性にやや多いとされている病気で、

当院でも月に2-3人は頭痛で来られる方に必ず見られる病気です😢

若年-中年者にも特殊な原因で起こることがあります。特発性椎骨動脈解離はその原因の一つで、首の後ろの椎骨動脈という血管が裂けてしまうことで脳卒中を起こします

教科書的には、首を強くひねった後やストレッチ後、首ならしやマッサージでの頸部への施術後で起こることが多いとされていますが、僕の外来でも7割の人が原因不明の発症が多い病気でした。

症状は、「頚部から後頭部のかけての痛み」で普段の頭痛と区別がつきにく事も特徴です。

症状は、頭痛、主に後頭部の痛みで一般的な頭痛との鑑別が困難です。

MRIによる血管のMRA精査を行う必要があります。

椎骨動脈解離が原因で、くも膜下出血、脳梗塞まで発展する、命にかかわる非常に

怖い病気です。

今回その、椎骨動脈解離に関する論文が出ました。

著者: Shuhei Egashira, Tomotaka Tanaka, Takayuki Yamashiro, Satoshi Saito, Soichiro Abe, Takeshi Yoshimoto, Kazuki Fukuma, Hiroyuki Ishiyama, Eriko Yamaguchi, Yorito Hattori, Soshiro Ogata, Kunihiro Nishimura, Masatoshi Koga, Kazunori Toyoda, Stéphanie Debette, Masafumi Ihara
題名: High pillow and spontaneous vertebral artery dissection: a case-control study implicating “Shogun pillow syndrome”
掲載誌: European Stroke Journal

枕が高いと脳卒中になる? ―特発性椎骨動脈解離と高い枕の関係と、殿様枕症候群の提唱

 

という論文です。

内容を要約すると 12cm以上の枕を使用すると椎骨動脈解離になりやすくなるという内容です。(正確には、原因のわからない、椎骨動脈解離になった人の中での12cm以上の枕の使用率が高かった)とい内容です。

論文内容を引用しますと、

椎骨動脈解離は欧米に比べて東アジアで極端に多いことが知られていましたが、有力な遺伝因子や環境因子の候補はこれまで見つかっていませんでした。これまで注目されてこなかった文化的素因が一部この地理的偏在を説明し得る点を示したことも特筆すべき点です。日本には殿様枕と呼ばれる高く硬い枕が17−19世紀に使われていました。髪型を維持するのに有効だったとされ、名前は“殿様”ですが広く庶民の間にも流通していたようです。1800年代の複数の随筆には、「寿命三寸楽四寸(12cm程度の高い枕は髪型が崩れず楽だが9cm程度が早死にしなくて済む)」といった言説が流布していたと記載があります。当時の人々は高い枕と脳卒中との隠れた関連性を認識していたのかもしれません。 

軽い頭痛で受診した若年でも発症し発見される病気です。少しでもリスクを下げるために枕を低いのに変えることは重要と考えます。