エムガルティ・アジョビ・アイモビーグの治療成績
内服治療での予防が効かなかった人の70%が効果を実感
- ひどい片頭痛の70~80%の方が頭痛の軽減、痛みの緩和を実感
- 60%の方が頭痛の頻度(半分以下になった)の改善、強力な痛みの緩和
-
10〜20%の方が
頭痛が完全消失
片頭痛の新しい治療薬(エムガルティ、アジョビ、アイモビーグ)カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)
片頭痛の新しい治療薬(エムガルティ、アジョビ、アイモビーグ)カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)って何?
CGRPは、中枢神経、心臓や血管など知覚神経の終末に存在するペプチドです。体組織への侵害刺激により末梢神経の軸索末端からCGRPが遊離され末梢血管を拡張させます。皮膚、筋、神経組織の血流調節に関与しています。この物質が片頭痛発作で大量に出る事が証明されています。
『エムガルティ・アジョビ・アイモビーグ』について動画でもご覧いただけます
[ 片頭痛発作でCGRPレベルが上昇する ]

- 血管拡張作用
- 神経原性炎症(炎症メディエーターの産生・分泌促進作用)
- 疼痛伝達亢進作用(侵害受容ニューロンの直接興奮作用)
カルシトニン関連ペプチドCGRPが頭痛を起こす!?

片頭痛患者さんにCGRPを投与した試験では、9人中9人全員で頭痛が起こりました。プラセボでは1人です。

CGRPが片頭痛を起こす原因物質です。この物質の作用を無効にできれば頭痛は無くなります。
エムガルティ、アジョビ、アイモビーグは、CGRPが作用しなくなるようにするお薬です。
エムガルティの作用、使い方、
治療成績、お値段、副作用は?
エムガルティはCGRPに選択性と親和性を有し、くっつきます。それによりCGRPの作用を無効にしてしまいます。


※イメージ図
エムガルティの投与方法は?
エムガルティは、皮下注射になります。エムガルティは、初回に2本(ローディングドーズ※)、2ヵ月目から1ヵ月毎に1本注射します。初回のローディングドーズ投与によって、初回投与後に速やかに定常状態に到達することが期待でき、効果を注射後から実感し易くなります。その後は、月1回の皮下注射を継続します。

※ローディングドーズとは、初期において1回投与量や1日投与回数を増やすことにより、早期に目標とする血中濃度に到達させるための投与設計です。
エムガルティの適応となる人は?
-
国際頭痛分類を参考に十分な診療を実施し、前兆のある又は前兆のない片頭痛の発作が月に複数回以上発現している、又は慢性片頭痛であることが確認されている。
-
本剤の投与開始前3ヵ月以上において、1ヵ月あたりの片頭痛日数が平均4日以上である。睡眠、食生活の指導、適正体重の維持、ストレスマネジメント等の非薬物療法及び片頭痛発作の急性期治療等を既に実施している患者であり、それらの治療を適切に行っても日常生活に支障をきたしている。
-
本邦で既承認の片頭痛発作の発症抑制薬(プロプラノロール塩酸塩、バルプロ酸 ナトリウム、ロメリジン塩酸塩等)のいずれかが、下記①~③のうちの1つ以上の理由によって使用又は継続できない。
- ①効果が十分に得られない
- ②忍容性が低い
- ③禁忌、又は副作用等の観点から安全性への強い懸念がある
上記の診断基準があります。アジョビ、アイモビーグと同じです。難しい事は考えず、片頭痛でお困りの方はご相談頂けたらと思います。頭痛があって、治療で良くならなければ使えます。
エムガルティでどれ位頭痛が減ったか?
反復性片頭痛患者を対象とした国内第Ⅱ相試験(CGAN試験)にて、エムガルティ120mg群では、1ヵ月あたりの片頭痛日数(6ヵ月間の平均)が3.6日減少しました。また、1ヵ月目から3.8日減少し、6ヵ月間効果が持続しました。

エムガルティ治療成績
平均で月の片頭痛の日数が8.6日から3.6日分減りました。その他の片頭痛予防薬で疼痛コントロールが困難な重い片頭痛の患者さんで片頭痛発作頻度が平均で半分以下に減ります。(6ヶ月目のデータです。)
- 片頭痛発作が50%減った人 67%
- 片頭痛発作が75%減った人 39%
- 片頭痛発作が全く無くなった人 21%
医療法人寿会 富永病院 頭痛センターでのエムガルティ治療成績データ
重度の頭痛で通院中の患者様152人でのケース
- 23%の方が、劇的に効いている、嘘のように楽、絶好調、信じられないと回答
- 32%の方が、かなり良い、とても調子がよい、とても楽
- 23%の方が、少しまし、楽になった、痛み止めでコントロールできるようになった。
- 22%の方が、あまり変わらない
上記のように評価しております。
エムガルティの治療費用
初回保険適応3割負担の場合 | 27,099円 |
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2回目以降保険適応3割負担の場合 | 13,550円 |
当院では現在在宅自己注射での使用に限定しております。
そのため上記費用以外に一部処方箋料、自己注射指導料がかかります事ご了承ください。
エムガルティの副作用、エムガルティを使えない人
副作用
注射部位紅斑、注射部位そう痒感、注射後の痛み
使えない人
妊婦(妊活中の方はご相談ください)、18歳未満
アジョビの作用、使い方、
治療成績、お値段、副作用は?
アジョビはカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)に選択的に結合し、2つのアイソフォーム(α-及びβ-CGRP)のCGRP受容体への結合を阻害するヒト化モノクローナル抗体です。CGRPへくっついてしまいCGRPが作用しなくなる効果があります。(エムガルティと同じtypeです)

アジョビの使い方

アジョビの特長として、エムガルティと違い、最初にローディングする必要がありません。そして、3本打てば、効果が3ヶ月持続します。通院回数を減らしたいかたに最適な投与方法になります。
アジョビの特長
- ヒト化型モノクローナル抗体で、中和抗体産生が比較的少ない(効果が薄れにくい)。臨床試験では3つの片頭痛注射薬で耐性がつく人が一番少なかった。
- 3ヶ月周期での通院が可能(1ヵ月周期にでもいつでも変更可能)
アジョビの適応となる人は?
-
国際頭痛分類を参考に十分な診療を実施し、前兆のある又は前兆のない片頭痛の発作が月に複数回以上発現している、又は慢性片頭痛であることが確認されている。
-
本剤の投与開始前3ヵ月以上において、1ヵ月あたりの片頭痛日数が平均4日以上である。睡眠、食生活の指導、適正体重の維持、ストレスマネジメント等の非薬物療法及び片頭痛発作の急性期治療等を既に実施している患者であり、それらの治療を適切に行っても日常生活に支障をきたしている。
-
本邦で既承認の片頭痛発作の発症抑制薬(プロプラノロール塩酸塩、バルプロ酸 ナトリウム、ロメリジン塩酸塩等)のいずれかが、下記①~③のうちの1つ以上の理由によって使用又は継続できない。
- ①効果が十分に得られない
- ②忍容性が低い
- ③禁忌、又は副作用等の観点から安全性への強い懸念がある
上記のような診断基準があります。エムガルティ、アイモビーグと同じです。 難しい事は考えず、片頭痛でお困りの方はご相談頂けたらと思います。頭痛があって、治療で良くならなければ使えます。
アジョビの治療効果は?
- 片頭痛発作が50%減った人 60%
- 片頭痛発作が75%減った人 40%
- 片頭痛発作が全く無くなった人 15〜20%
エムガルティと半減する人の人数は変わりませんが、全く無くなる人や75%頭痛が消える人の率が高いようです。効く人はより効くといった印象でしょう。
アジョビの治療費用
保険適応3割負担の場合 | 1本12,400円 |
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アジョビの副作用、アジョビを使えない人
副作用
注射部位紅斑、注射部位そう痒感、注射後の痛み(当たり前ですが・・・)
使えない人
妊婦(妊活中の方はご相談ください)、18歳未満
アイモビーグの作用、使い方、
治療成績、お値段、副作用は?
カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)の受容体にくっついてしまい、CGRPが作用できないようにしてしまう、唯一のお薬です。

アイモビーグの投与の仕方
単純な4週間ごとの注射です。


アイモビーグの適応となる人は?
-
国際頭痛分類を参考に十分な診療を実施し、前兆のある又は前兆のない片頭痛の発作が月に複数回以上発現している、又は慢性片頭痛であることが確認されている
-
本剤の投与開始前3ヵ月以上において、1ヵ月あたりの片頭痛日数が平均4日以上である。睡眠、食生活の指導、適正体重の維持、ストレスマネジメント等の非薬物療法及び片頭痛発作の急性期治療等を既に実施している患者であり、それらの治療を適切に行っても日常生活に支障をきたしている。
-
本邦で既承認の片頭痛発作の発症抑制薬(プロプラノロール塩酸塩、バルプロ酸 ナトリウム、ロメリジン塩酸塩等)のいずれかが、下記①~③のうちの1つ以上の理由によって使用又は継続できない。
- ①効果が十分に得られない
- ②忍容性が低い
- ③禁忌、又は副作用等の観点から安全性への強い懸念がある
上記のような診断基準があります。エムガルティ、アジョビと同じです。難しい事は考えず、片頭痛でお困りの方はご相談頂けたらと思います。頭痛があって、治療で良くならなければ使えます。
アイモビーグの治療成績
- 片頭痛発作が50%減った人 60%
- 片頭痛発作が75%減った人 38.5%
- 片頭痛発作が全く無くなった人 19.8%
効果の程度は、アジョビとあまり変わらいように思います。
アイモビーグの特長
- 完全ヒトモノクローナル抗体である。理論上一番耐性が付きにくい。
- 受容体阻害薬なので効果発現までのスピードが速いはず。(データはありませんが・・・)
- 片頭痛治療薬の唯一の受容体抗体
- 完全ヒト型モノクローナル抗体で,注射部位反応が少ない
- 注射シリンジがばね式で一番痛くないかも?
アイモビーグの治療費用
保険適応3割負担の場合 | 1本12,400円 |
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アイモビーグの副作用、アイモビーグを使えない人
副作用
注射部位紅斑、注射部位そう痒感、注射後の痛み
使えない人
妊婦(妊活中の方はご相談ください)、18歳未満
エムガルティ、アジョビ、アイモビーグの選び方、メリット、デメリットまとめ
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エムガルティを選ぶ理由
薬価は最初の導入時に他メーカーの倍の費用がかかるのがデメリット。最初に2本使うので立ち上がりの効果が一番実感し易い。
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アジョビを選ぶ理由
1ヵ月投与か3ヵ月投与が選べる。忙しくて長期処方希望の人にお勧め。耐性もつきにくい。
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アイモビーグを選ぶ理由
- 完全ヒトモノクローナル抗体の為、打った部分の発赤などが少ない。唯一の受容体抗体。
- たまに便秘になる人がいる。元々便秘のある人には不向きかも。下剤使えば大丈夫ですが。
CGRP抗体受容体作用薬、エムガルティ、アジョビ、アイモビーグが効きやすい人の特長
最近の市販後の研究で上記に関するデータが明らかになってきました。
下記のようなケースにおいて効きやすいというデータが出ています。また、アップデートしていきます。
- 左右の偏りのある頭痛
- 痛み止めを乱用していた人
当院でのCGRPの受容体作動薬の導入実績
2023年5月時点時点ではCGRP製剤全体で約300名近い注射製剤の患者様が通院中です。
片頭痛患者さまでは700〜800名の患者様が通院中です。
現在の所、95%以上の方に効果を実感して満足して頂いております。 臨床試験ですと、効果が無い方が10%〜20%報告されておりますので、当院では、適切なCGRPの適応が出来ているのではと考えております。
当院でCGRP製剤の使用にて見えてきた事
① 3種類の薬剤の効果、特長等の違いに関して
基本的に、しっかり効いている間の効果の差に関しては実感するものはありません。
しかし、初回・2回打ちのエムガルティが1ヶ月時点での効果の減弱の実感が無いように他社製品と比較した際あるように感じられます(他社1本打ち製剤に関しては4ヶ月目以降でようやく安定して1ヶ月効果が継続するような印象です。院長個人的見解)
エムガルティ、アジョビ、アイモビーグはどれも在宅自己注射を当院では推奨しております。1ヶ月後の効果判定で問題なければ、2ヶ月分処方、その次は3ヶ月分処方が可能となっております。
通院の負担、診療費負担を減らす事ができますので、お忙しい方、確実な効果を狙う方にはエムガルティ、アジョビ、アイモビーグをお勧めしております。
② 片頭痛以外の頭痛に効果はあるのか
片頭痛の適応であり、片頭痛以外の使用は保険診療上はできません。
しかし、頭痛治療で様々な内服を使用し、『片頭痛の特徴もあるけど、この患者さん100%片頭痛とも言えないなー、あまり効果がないかもしれないな・・。』という診断が難しいケースでも数例使用した事があります。そのような方でも劇的に改善著効する事がありました。
しっかりと診断、患者様との相談の上、片頭痛の要素がある場合は使用したら劇的に改善する事があります。
③ 緊張性頭痛と誤診されている患者様
慢性片頭痛は多くの方が痛み方が変化しており、頭痛外来を語っているクリニックでも多く緊張性頭痛と誤診されている方がいらっしゃいます。
一度頭痛専門外来の受診を勧めます。