2026年10月31日、富永病院(大阪市浪速区)で開かれた「富永病院 地域連携フォーラム」に、当院院長の山田大が参加しました。富永病院の先生方と、浪速区・天王寺区医師会の先生方が集まり、顔の見える関係をつくるための会です。
本記事では、脳卒中の急性期治療についての講演と、頭痛・認知症の治療についての意見交換の内容、そして当院と富永病院の連携についてご紹介します。
講演「脳卒中の急性期治療の最前線」
講演は、富永病院 脳神経外科副部長・脳卒中センター長の芝野克彦先生です。脳梗塞と脳動脈瘤を、頭を切らずに血管の内側から治療する方法についてお話がありました。芝野先生には、当院の外来も担当いただいています。
脳梗塞の血栓回収療法
脳の太い血管が血のかたまり(血栓)で詰まったときに行う治療です。足の付け根や腕の血管からカテーテルという細い管を脳まで進め、ステント型の器具や吸引カテーテルで血栓を取り除きます。
発症から治療を始めるまでが早いほど、脳のダメージを小さくできる可能性が高まります。片側の手足のまひやしびれ、ろれつが回らない、顔のゆがみ、言葉が出ないなどの症状が急に出たときは、様子を見ずにすぐ救急車を呼んでください。
フローダイバーター:大きな脳動脈瘤の治療
目の細かい網目でできた筒状のステントを、動脈瘤の入口(ネック)をまたぐように、もとの血管(親血管)の中に置く治療です。動脈瘤へ流れ込む血液が減り、瘤の中の血液がしだいに固まって、数か月から1年ほどかけて瘤が小さくなり、閉じていきます。
- 国内で使われている主な製品:パイプライン(日本メドトロニック)、FRED(フレッド、テルモ)、サーパス(日本ストライカー)
- 向いている動脈瘤:大きい動脈瘤や、入口が広い動脈瘤。これまで開頭手術やコイル塞栓術では治療が難しかった動脈瘤も対象になります。
- 治療後:一定の期間、血液を固まりにくくする薬(抗血小板薬)を飲み続ける必要があります。
WEB(ウェブ):血管の分かれ目にできた脳動脈瘤の治療
WEB(テルモ)は、細い金属の線を編んだ、小さなかご(バスケット)の形の器具です。カテーテルで動脈瘤の中まで運んで広げ、瘤の内側から入口をふさぎます。
- 向いている動脈瘤:血管の分かれ目(分岐部)にできた、入口の広い動脈瘤。脳底動脈の先端、中大脳動脈や前交通動脈の分岐部などです。これまではコイルがはみ出しやすく、ステントの併用が必要だった形でも、1つの器具で治療できます。
- 治療後:もとの血管にステントを置かないため、抗血小板薬の負担が少なくて済む場合があります。
芝野先生は、フローダイバーター3社の製品(パイプライン・FRED・サーパス)とWEBについて、ほかの医師に手技を指導するプロクター(指導医)の資格をお持ちです。大きな動脈瘤や分岐部の動脈瘤でも、血管の中から治療できる選択肢が広がっています。
フローダイバーターとWEBの違い
| 項目 | フローダイバーター | WEB |
|---|---|---|
| 器具を置く場所 | もとの血管(親血管)の中 | 動脈瘤の中 |
| 器具の形 | 目の細かい網目の筒(ステント) | 金属の線を編んだ小さなかご |
| 向いている動脈瘤 | 大きい動脈瘤、入口の広い動脈瘤 | 血管の分かれ目にできた、入口の広い動脈瘤 |
| 治療後の飲み薬 | 一定期間、抗血小板薬が必要 | 抗血小板薬の負担が少なくて済む場合がある |
| 国内の主な製品 | パイプライン、FRED、サーパス | WEB |
頭痛・認知症の治療についての意見交換
懇親会では、富永病院 院長で日本頭痛学会 代表理事、当法人の顧問でもある竹島多賀夫先生と、次のテーマについて意見を交わしました。
- アルツハイマー病の抗アミロイドβ抗体薬(一般名:レカネマブ)の運用
- 片頭痛の飲み薬(一般名:リメゲパント)による、発作時の治療と予防
- 2026年に国内で承認された、点滴で行う片頭痛の予防薬(一般名:エプチネズマブ)の臨床試験の結果と、今後の使い方
このほか、富永病院 理事長の富永良子先生をはじめ、富永病院の先生方や地域連携室の皆さま、浪速区・天王寺区医師会の先生方と交流させていただきました。
当院と富永病院の連携
富永病院の先生方が当院の外来を担当しています
院長の山田は、2015年から2021年まで富永病院の脳神経外科に勤務し、開頭手術や血管内治療、頭痛の診療に携わってきました。現在も、芝野先生をはじめ富永病院の脳神経外科の先生方に、当院の外来を担当いただいています。また、竹島先生には当法人の顧問として、頭痛診療のご指導をいただいています。
MRIで見つかった脳動脈瘤は、専門の病院へ紹介します
当院では、MRI(富士フイルム ECHELON Smart Plus)で頭部の撮影を行い、当日に結果をご説明しています。頭部の撮影は10分弱です。
MRIで脳動脈瘤が見つかり、カテーテル治療や開頭手術の相談が必要な方は、富永病院をはじめとする専門の病院へ紹介しています。緊急の対応が必要な病気が見つかった場合も、富永病院や大阪市立総合医療センターと連携して対応します。
脳動脈瘤や脳梗塞の予防については、脳卒中予防外来もご覧ください。
地域の先生方からのMRI検査のご依頼
近隣の医療機関の先生方からの、MRI検査のご依頼も受け付けています。詳しくは医療機関様へ MRI検査のご案内をご覧ください。
地域の病院とクリニックがそれぞれの役割を分け合い、患者さんが必要な治療に早くたどり着けるよう、今後も連携を深めてまいります。
よくある質問
Q1. MRIで脳動脈瘤が見つかったら、どうなりますか?
A. MRIで見つかる脳動脈瘤の多くは、症状のない「未破裂脳動脈瘤」です。動脈瘤の大きさ・形・場所、年齢、ご家族の病歴などから、経過観察にするか治療を検討するかを判断します。経過観察の場合は、定期的にMRIで大きさや形の変化を確認します。治療が合う方には、開頭手術かカテーテル治療かを専門の病院と相談できるよう、富永病院などへ紹介します。どちらの場合も、血圧の管理と禁煙が大切です。
Q2. 脳動脈瘤のカテーテル治療とは何ですか?
A. 足の付け根や腕の血管からカテーテルという細い管を入れ、頭を切らずに血管の内側から動脈瘤を治療する方法です。動脈瘤の中にコイルを詰める「コイル塞栓術」のほか、もとの血管に網目の筒を置く「フローダイバーター」や、瘤の中にかご状の器具を置く「WEB」があります。どの方法が合うかは、動脈瘤の形や場所によって決まります。
Q3. フローダイバーターとWEBはどう違いますか?
A. フローダイバーターは、もとの血管の中に網目の筒(ステント)を置き、瘤へ流れ込む血液を減らして瘤を閉じていく器具で、大きい動脈瘤や入口の広い動脈瘤に向いています。WEBは、瘤の中に小さなかご状の器具を置いて内側から入口をふさぐ器具で、血管の分かれ目にできた入口の広い動脈瘤に向いています。フローダイバーターは治療後に一定期間、抗血小板薬が必要です。WEBはもとの血管にステントを置かないため、抗血小板薬の負担が少なくて済む場合があります。
まとめ
- 脳梗塞は、発症から治療までが早いほど脳のダメージを小さくできる可能性が高まります。急な手足のまひ、ろれつが回らないなどの症状があれば、すぐに救急車を呼んでください。
- 脳動脈瘤は、フローダイバーターやWEBなど、血管の中から治療できる方法が広がっています。
- MRIで脳動脈瘤が見つかっても、すぐに治療が必要とは限りません。大きさや形を確認し、経過観察か治療の相談かを一緒に考えます。
頭痛やめまい、もの忘れなど気になる症状がある方、脳ドックやMRIで動脈瘤を指摘された方は、お気軽にご相談ください。
監修者情報:山田 大(やまだ だい)
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天王寺だい脳神経外科クリニック 大阪頭痛脳神経クリニック 理事長
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日本脳神経外科学会 専門医 頭痛学会 専門医
- 全国でも屈指の診療実績を持つ頭痛診療のスペシャリスト 2026年4月、より高度な頭痛治療を提供するため大阪頭痛脳神経クリニックを設立。
2026年 4月 大阪頭痛脳神経クリニック 開院 土日も診療 平日土曜日20時まで診療(初診19時半)
JR大阪駅、阪急梅田、地下鉄梅田駅すぐ、頭痛、ものわすれ、認知症、頭部外傷、当日MRI検査を行えます。
今まで天王寺だい脳神経外科が遠くて通いづらい、大阪北部、兵庫県、大阪、淀川区、都島区、城東区の方、受診する時間が無いと思われておりました方是非受診ください。
医療法人壮大会 大阪頭痛脳神経クリニック 天王寺だい脳神経外科
理事長 山田 大 Dai Yamada

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資格・所属学会
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日本脳神経外科学会 専門医
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身体福祉障害者指定医
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難病指定医
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日本脳神経外科コングレス
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日本頭痛学会
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日本脳卒中学会
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日本認知症学会
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日本頭痛学会 頭痛専門医
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専門分野
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頭痛の治療
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認知症の治療
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首、腰の病気、しびれ
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血管の病気
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めまい、たちくらみ
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てんかん
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高血圧、高脂血症、糖尿病
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リハビリテーション
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略 歴
2013年
近畿大学医学部医学科
高砂市民病院 初期研修医 内科、外科、製鉄記念広畑病院 救急科
2015年
医療法人寿会 富永病院 脳神経外科
2018年
医療法人寿会 福島県 総合南東北病院 脳神経外科
2019年
医療法人寿会 富永病院 脳神経外科
2021年12月
医療法人寿会 富永病院 退職
2022年2月
資格・所属学会
日本脳神経外科学会 専門医
身体福祉障害者指定医
難病指定医
日本脳神経外科コングレス
日本頭痛学会
日本脳卒中学会
日本認知症学会
日本頭痛学会 頭痛専門医
参考・引用文献
- 富永病院 地域連携フォーラム(2026年10月31日)講演「脳卒中の急性期治療の最前線」(芝野克彦先生)
- 日本脳卒中学会 脳卒中ガイドライン委員会編「脳卒中治療ガイドライン2021〔改訂2023〕」





