ものわすれ(認知症)は誰でもなります
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恥ずかしがらず、
気軽に受診して頂けたら幸いです -
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早期発見にて、
予防を行いましょう -
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認知症の本人、家族も含め
サポートします
ものわすれ外来は、MRIにより画像検査にて脳の状態を評価。症状と認知機能を総合的に評価して、内服治療、リハビリテーション等により改善を行います。
ものわすれの症状、
原因、治療について
こんな症状は要注意
- 同じ話を何度もする
- ちょっと前のことが思い出せなくなった
- 今しようとしていることを忘れる
- 同じことを何度も言う
- イライラして怒りっぽくなった
- なんとなく元気がなく、気分が落ち込む
- 日付、曜日がわかりにくい
- 新しいことに取り組む意欲がない
- 物を片付けた場所を忘れる
- 知っている人の名前を思い出せない
- 身だしなみに無関心になる
認知症(ものわすれ)とは
認知症は、高齢になれば当たり前の病気です。誰もがいつかは、程度の問題でなる病気です。90歳では50%、95歳では80%の方が認知症です。年齢を重ねるとだれもが程度によりけりですが症状が出ます。
ものわすれ外来を受診するメリット
- MRI検査にて脳卒中による認知症の見落としを防ぎます
- MRI検査内容は脳ドックと同じ内容+認知症用の撮影です(VS-RAD)
- 早期診断にて症状を改善、予防します
- 病気の進行に備え、準備期間が出来ます
- 進行を遅らすことができます
- 症状をコントロールする事により家族の負担を減らします
ものわすれの原因
認知症にはいくつかの種類がありますが、主なものとして下記のようなものがあります。
- アルツハイマー型認知症
- 脳血管型認知症
- レビー小体型認知症
- 慢性硬膜下血腫
- 正常圧水頭症
上記のうち約60%はアルツハイマー型認知症が原因で、約20%は脳血管型認知症によるものとされています。
その他には、頭を打った後になる、慢性硬膜下血腫、頭の髄液の循環が悪くなった事により起こる正常圧水頭症という病気があります。まずは、MRI検査をすることにより判明致します。
アルツハイマー型認知症 当院での治療
アルツハイマー型認知症の特徴
- 認知機能低下
- 人格が変化する
- 認知症の40~50%を占める、最も多いタイプ
人格の変化を主な症状とする認知症です。認知症の40~50%を占める、最も多いタイプです。
頭部MRI検査にて側頭葉内側の萎縮が見られます。アルツハイマー病は10年程度の経過を辿り、徐々に病状が進行します。
1~3年の間は、主に海馬の萎縮による症状である新しいことが覚えられない、もの盗られ妄想、不潔になる等があります。
その後2~10年の間では、新しい記憶だけでなく、古い記憶も障害されます。
また頭頂葉、側頭葉の萎縮により自分の家の場所が分からなくなったりして徘徊する等の症状が出ます。本人の病気に対する、深刻さは無くむしろご機嫌に過ごしている事が多いです。
8~12年経つと、記憶は殆ど失われ、脳全体の萎縮により異食、尿便失禁等が見られます。最終的には、無動、無言となります。
アルツハイマー型認知症の症状
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もの忘れのエピソードを覚えていない
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家族や友人の名前を忘れる
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ごく親しい友人や人間関係の変化だけにしか気づかない
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屋外の慣れ親しんだ状況で混乱する。
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もの盗られ妄想がある。
アルツハイマー病の治療
アルツハイマー病は、10年程度の経過を辿り、徐々に病状が進行します。
早期発見により内服治療による進行抑制が可能です。
当院で使う、内服治療薬は以下になります。
それぞれの薬剤に特徴があり、症状に合わせて使い分けます。
アルツハイマー型認知症新薬レカネマブについての解説動画もご覧ください
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アリセプト(塩酸ドネペジル)
主に無気力で活気がないタイプ又は幻視・日々の症状変化・パーキンソン症状がある方はドネペジルを使用します。
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ガランタミン(レミニール)
不安で落ち着きがないタイプはガランタミンを使います。
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リバスタッチ、イクセロン(リバスチグミン)
お薬を飲み忘れてしまうようなアドヒアランスが悪い方や日常生活における機能の低下、抑うつ症状があるタイプは、張り薬のリバスチグミンが有用です。貼り薬のため皮膚が赤くなる、かゆくなる等の皮膚症状が稀に見られます。
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メマンチン(メマリー)
興奮しやすいにぎやかなタイプにはメマンチンをよく用います。他の3種類と違い消化器症状が出にくいのが特徴です。
ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミンは、
軟便、下痢、吐き気、嘔吐、食欲不振などの胃腸障害が発現することがまれにあります。
レビー小体型認知症 当院での治療
認知機能の変動の幅が大きい事と、
幻覚を特徴とする認知症です。
パーキンソニズム(筋強剛、無動、姿勢反射障害、安静時振戦)レム睡眠行動障害、起立性低血圧などがあります。認知症の内20%の割合です。
レビー正体型認知症の症状
- ものわすれ
- 幻覚症状が強い
- 日によって認知機能、覚醒の度合いの差が大きい
- 立ち眩み(起立性低血圧)
- ふるえ
- 活気がない、殆ど動かない
- 手がふるえる
よく、起立性手血圧による失神や、意識レベルの変動が大きいことにより意識障害と勘違いされて、救急車で運ばれてくる事があります。
救急車が病院に到着して2〜3時間もすればいつもと変わらない状態になっているという事も良くあります。
レビー小体型認知症の病態、治療
レビー小体型認知症の幻覚、妄想の症状にはアセチルコリンを増やす内服薬が有効です。
レビー小体型認知症の幻覚の背景には、アセチルコリン産生神経細胞の減少に伴い、後頭葉(視覚の中枢)でのアセチルコリンの量が減り、後頭葉の機能低下により起こるとされています。次に漢方薬の抑肝散もよく効くとされています。アリセプト+抑肝散の組み合わせが最も使いやすいです。それでも幻覚、妄想などの興奮性の症状が収まらない場合は、メマンチンを使うこともあります。クエチアピンも向精神病薬の中ではパーキンソニズムを引き起こさず、使いやすいため併用する事があります。
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パーキンソニズムへの対応
マドパーやメネシット等を用い対応します。
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便秘
マグミット等で対応
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REM睡眠行動障害
クロナゼパム(リボトリール)が適応外使用で承認されています。0.5mgを夕食後もしくは、眠前に使います。
前頭葉型認知症の治療は?
前頭葉型認知症は、認知症の内2%と比較的少なめの認知症です。
こんな症状の方は、初期の前頭葉型認知症を疑います。
- 元気がない
- しゃべる事が減った
- 食べるものが偏るようになった
- 食べる量が急に増えだした
- 物を盗んでしまった
症状が進行してくると下記のような症状が出てきます。最終的には、無言、無動になります。
- 落ち着きがない
- 同じ場所をぐるぐる移動する
- 同じ椅子に座る
- 返事がオウム返し
- 暴力を振う
MRIでの画像的特徴は、前頭葉の萎縮です。前頭葉は、人格、社会性、言語の中枢であるため上記症状が出ます。
根本的な治療、認知機能を高めるお薬がありません。興奮等の周辺症状への対症療法になります。
よく、アルツハイマー型と混同されドネペジル等が使われていますが、基本的に興奮性を助長するため使わない方が無難です。
興奮症状に関しての治療は、下記にまとめています。
認知症で困る様々な周辺症状(BPSD) 当院での治療
認知症の治療は、認知機能を改善する事も大切ですが、それ以上に周辺症状と言われるものをコントロールする事が大切です。
こんな症状は、認知症に伴うBPSD(周辺症状)を疑います。
- 最近、活気、元気がない
- うつになっている
- 勘違い、妄想が増えた
- 怒りっぽい
- 落ち着きがない
- 徘徊する
- 幻覚が見える
- 性的逸脱
- 不潔になる
- 暴力を振う
どの症状も、本人も辛いのですが、何より家族が疲弊してしまいます。
上記の症状がある場合は、内服の調整により、症状をコントロールする必要があります。
周辺症状(BPSD)
症状が、元気が有り余っているのは、うつ状態で活動性が乏しいかどうかで内服を選択していきます。
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抑肝散
元気が有り余っている方にはまずは、漢方薬の抑肝散を使用します。内服方法は、1日3回飲めば、食前食後関係なく効果があるとされており、漢方である事からも他のお薬よりも患者様の抵抗感が低く開始し易いお薬です。高齢者では、低カリウム血症に注意する必要があります。
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クロルプロマジン(コントミン、ウィンタミン)
行動障害前頭葉型認知症の元気があり過ぎる人に使います。朝夕に内服して頂き、1日20mg以下で使用します。副作用には、パーキンソニズム、肝障害があります。
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チアプリド(グラマリール、チアリール)
アルツハイマー型認知症や血管性認知症の興奮性BPSDに対して良く使います。
朝夕で100mgまでで使用し、不穏時は、25mgを頓用で使用したりします。
副作用にはパーキンソニズムがあります。 -
リスペリドン(リスパダール)
糖尿病があっても使いやすく、鎮静効果の強いお薬です。長時間効くため、昼間も覚醒レベルを下げる為、投与量の調整が必要です。長期間使用するとパーキンソニズムのしょうじょうが出やす。
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クエチアピン(セロクエル)
作用時間が短く、使いやすい内服で最も多く使う機会があります。夕食後投与で夜間はしっかりコントロールでき日中の覚醒を妨げない使い方が出来ます。25mgから開始し、50~100mgまでで調整します。血糖値を上昇させるので糖尿病の方には使いません。
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バルプロ酸
抗てんかん薬ですが、上記の抗精神病薬によるパーキンソニズムが出る際は、こちらを使う事もあります。てんかんで用いるのとは違い200mg位までで使用します。