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小児・思春期の頭痛

小児・思春期の頭痛について

小児・思春期の頭痛

当院では、小児、お子様の頭痛に関しても開院以来、多くのご相談を受けています。成人の頭痛とは、原因等が異なる事も多いため、一度お気軽にご相談ください。

鎮痛剤だけを使用して我慢している方が多くいらっしゃいます。頭痛の治療の基本は予防治療になります。しっかりと精査した上で頭痛治療を行っていきますのでお気軽に受診ください。

20歳以下の頭痛患者様は、初診の患者様ですと月間40人程、ご来院されます。頭痛は一番年齢が低い方で8歳から、主に13歳から急激に増える傾向があります。小児の頭痛を診る医療機関が少ない事もあり、他府県からのご来院いただくケースも多い状況です。

※MRI検査は可能な限り対応致しますが、女の子は8歳、男の子は10歳が平均的に検査可能な限界ラインです。それ以下のお子様は検査中に動いてしまい検査ができない事が多いです。
ご了承ください。

2022年9月 院長 山田 大

小児の頭痛で大切な事

  • 頭痛の精査を行うこと
  • 副作用が少ないお薬で治療
  • 頭痛の原因を見極める

小児の頭痛で大切な事は、まずは2次性頭痛の除外です。小児の2次性頭痛を鑑別する指標としては、今までに経験したことない頭痛、進行する麻痺、失調、意識消失、頭痛の頻度の増強、後頭部痛、頭痛による睡眠の分断、朝の嘔吐を伴う頭痛、深呼吸をした時の脱力発作等があります。小児では頭部CT検査は被爆の可能性があり、躊躇われます。しかし、近年は被爆しないMRIの進化、発達により気軽に小児でも検査を受ける事が可能です。頭痛外来の受診を勧めます。

小児の最も多い2次性頭痛

  • モヤモヤ病
  • 脳腫瘍
  • 髄膜炎

小児の最も多い2次性頭痛には、モヤモヤ病があります。もやもや病は、日本人に多発する原因不明の進行性脳血管閉塞症であり、脳血管撮影検査で両側の内頚動脈終末部に狭窄ないしは閉塞とその周囲に異常血管網を認める。
家族性の発症を10~20%に認めます。男女比は1:2.5で有病率は最近の検討では10万人に対して3~10.5人とされております。
発症年齢は、5~10歳と30~40歳に認めます。小児期は、意識消失等の発作が多いですが、成人期には、脳梗塞、脳出血にて発症します。
2011年に、RNF213遺伝子がもやもや病の感受性遺伝子であることが確認されました。同遺伝子多型p.R4810Kは、日本人患者の80~90%が保因していますが、日本人健常者の1~2%も同様に保因していることがわかっております。その他の原因も関わっており何故もやもや病が発症するかはまだ分かっておりません。
その他の2次性頭痛としては、脳腫瘍、髄膜炎等があります。鑑別には、MRI検査と髄液検査が有用です。

小児の1次性頭痛(脳にMRIで異常が無く、髄液検査も問題ない頭痛)

小児の主な頭痛は、片頭痛と緊張型頭痛です。
有病率としては片頭痛が3~15%、緊張性型頭痛としては17.4%でした。小児の外来を受診する一次性頭痛の半分以上は、生活支障度の高い片頭痛です。

小児片頭痛の診断と治療

小児の片頭痛の症状は、2~72時間の拍動性の頭痛で片側性でなく両側性である事も多く、後頭部よりも、前頭部、側頭部に多いです。
成人と同じく、中等度から重度の頭痛で、歩行や階段の上り下りの日常的な動作により増悪します。
悪心、嘔吐、光過敏、音過敏等の項目を認める事も重要となります。
片頭痛は、家族集積性が強い疾患で母親の罹患率が高いとされております。この為、一緒に受診した両親に頭痛があれば、一緒に問診表を記入してもらっています。

小児の慢性頭痛に合併する疾患

起立性調節障害

小中学生の頃から立ち眩みやめまいを主訴に小児科を受診しODと診断される小児が多くなります。
特徴としては朝は調子が悪いが、昼頃には改善しているという事があります。

起立性調節障害は、自律神経系の異常です。循環器系の調節がうまくいかなくなる疾患です。立ち上がった際に血圧の低下や心拍数の上昇が認められます。その調節に時間がかかり不調を来たします。

この疾患は、自律神経疾患なので身体的要素以外にも、精神や環境の要素も関わっていると考えられています。身体的な要因の一つとして自律神経が不安定になることが挙げられます。

小学校高学年~中学生に多くみられ、この時期は第二次性徴期とも重なり、身体のさまざまな機能が大人へと変化が起こります。この変化は自律神経系にも起こるため、循環器系の調節が上手に出来なくなる事があります。

また、真面目で気を遣うタイプの子どもが起立性調節障害になりやすいといわれており、これはストレスをため込みやすいという精神的な要素、環境的な要素に関連している考えられます。

症状

  • 朝なかなか起きられない
  • 目が覚めても頭痛や腹痛がして寝床から出られない
  • 起きてから時間が経たないと食事が出来ない
  • 午前中は気分が優れず、午後になると元気が出てきて、夜なかなか眠れない

起立性調節障害の症状は、思春期には健常な子どもでも自覚することがしばしばあります。すべてを疾患として扱う必要はありませんが、生活に支障をきたしている場合は疾患として扱い、診察を受ける必要があります。小児の頭痛の多くに、起立失調性障害を合併しています。起立性調節障害の典型的な症状は、「立ちくらみ」「疲れやすい」「長時間立っていられない」などです。また、朝起きられないことから、不登校になる割合も多いことが知られています。起立性調節障害小児の3分の2が不登校で、不登校小児の約半数が起立性調節障害を合併していたというデータもあります。起立失調性障害があり、なかなか学校にいけないことによる精神的な疲労で更に不登校になる悪循環も起こります。

起立失調性障害の治療『非薬物療法』

非薬物療法(日常生活上の工夫)

  • 坐位や臥位から起立するときには、頭位を下げてゆっくり起立する。
  • 静止状態の起立保持は、1〜2分以上続けない。短時間での起立でも足をクロスする。
  • 水分は1日1.5リットル〜2リットルを摂取する。
  • 塩分を多めにとる。
  • 毎日30分程度の歩行を行い、筋力低下を防ぐ。
  • 下肢のレジスタンストレーニングを含む有酸素運動(サイクリングタイプなど)を、臥位や半臥位で開始。30分程度/日、3~4回/週
  • 副作用:最初の4〜6週間程度に悪化や効かないと感じることがある。眠くなくても就床が遅くならないようにする。

起立失調性障害の治療『薬物療法』

  • プロプラノロール(インデラル)

    • アドレナリンβ受容体遮断薬。心拍数を下げる効果があります。
    • 10〜20mg、1日4回まで。
    • 副作用:低血圧、徐脈、気管支けいれん(喘息の悪化)
    • 注意:喘息の悪化や運動不耐
  • ビソプロロール(メインテート)

    • β1選択性アドレナリン受容体遮断薬。プロプラノロールと同等の効果があるとされている。慢性心不全の適応しか日本ではない。
    • 2.5〜5mg、1日1回。
  • イバブラジン(コララン)

    • HCNチャネル遮断薬
    • 2.5〜7.5mg、1日2回
    • 副作用:頭痛、動悸、高血圧、徐脈、視覚の障害
    • 慢性心不全のその他治療中の患者様に使うお薬です。
    • β遮断薬の最大忍容量が投与されても安静時心拍数が75回/分以上の患者に投与するが、β遮断薬が使用不能な患者(β遮断薬に対する忍容性がない、禁忌など)にも投与可能
  • イバブラジン(メスチノン)

    • 自律神経節や末梢のムスカリン受容体のアセチルコリンを増やし、心拍数を下げられる場合がある。
    • 30〜60mg、1日3回まで
    • 副作用:腹部の痛み・痙攣、下痢、吐き気、頻尿
  • ミドドリン(メトリジン)

    • アドレナリンα1受容体作動薬。血管収縮、静脈還流量の改善により頻脈を抑えられる場合がある。
    • 2.5〜10mg、1日3回
    • 副作用:頭痛、頭皮の痛み、高血圧
    • インデラルの次に当院で使用する小児の起立失調性障害に使う内服薬です。
    • 注意:臥位高血圧の防止のため、就寝前4時間は使用しない
    • 血液量増加
  • フルドロコルチゾン(フロリネフ)

    • 腎臓のナトリウム再吸収による血液量増加を促す。
    • 0.1〜0.2mg、1日1回
    • 副作用:低ナトリウム血症、浮腫
    • 注意:血清カリウム値をモニターすること
  • デスモプレシン(ミニリンメルト)

    • 腎臓の水分保持による血液量増加を促す。
    • 0.1〜0.2mg、1日1回 必要に応じて
    • 副作用:低ナトリウム血症、浮腫
    • 注意:慢性的に使用する場合は、血清カリウム値をモニターすること。下垂体術後の患者さんに使うお薬です。当院では実際には小児では使用しません
  • 生理食塩水の末梢静脈点滴

    • 1リットル〜2リットルを1〜2時間以上かけて投与。週1回など間欠的に。
    • 注意:長期投与、中心静脈カテーテル留置は推奨されていない(胃腸症状が重く経口摂取が難しいなどの例外を除く)。基本的に、経口摂取で対応可能なため当院では推奨しておりません。
  • メチルドパ(アルドメット)

    • 交感神経遮断薬
    • アドレナリンPOTSで要する場合がある。
    • 125〜250mg、1日2回
    • 副作用:低血圧、疲労感、ブレインフォグ
    • 注意:少量から開始
  • クロニジン(カタプレス)

    • 高アドレナリンPOTSで要する場合がある。
    • 0.1〜0.2mg、1日2〜3回
    • 副作用:低血圧、疲労感、ブレインフォグ
    • 注意:少量から開始
  • モダフィニル(モディオダール)

    • 体位性頻脈の疲労感やブレインフォッグに効くと考えらえている。
    • 50〜200mg 1日1〜2回
    • 副作用:多くの患者で心拍数はわずかに上がる。
    • 元々は、覚醒障害のある、ナルコレプシーの患者様のお薬になります。
    • 閉塞性睡眠障害の患者様でも適応はあります。当院では処方できません。
  • 漢方薬

    • 補中益気湯
    • 半夏白朮天麻湯
    • 五苓散
    • 真武湯

精神疾患の共存

治療に難渋する小児の頭痛には、精神疾患の関与が多いです。不登校の場合、殆どの児童に精神的背景の関与があるとされています。
普通に学校に行っている子の中でも20%に精神的背景はあるとされています。

片頭痛の治療

小児の片頭痛は、成人と比較して症状が軽いため治療を必要としないものも多いです。まずは、規則正しい睡眠や食事、頭痛発作の誘因の除去の非薬物療法が推奨されています。しかし、日常生活が、妨げられる、質が低下するような強い頭痛を持つ小児には、積極的な内服による治療をお勧めしております。

急性期治療薬

急性期の治療薬の第一選択薬は、イブプロフェンとアセトアミノフェンであり、頭痛が始まったら出来るだけ早く飲みます。それに加えて静かな部屋での休息が推奨されます。鎮痛剤が無効、もしくは嘔吐で使用困難な時は、スマトリプタンの点鼻薬が有効ですが、苦いので嫌がる子もいます。錠剤ではリザトリプタン(マクサルト)が有効な例が多いです。その他スマトリプタン(イミグラン)ゾルミトリプタン(ゾーミック)エレトリプタン(レルパックス)も有効性が報告されています。12歳以下では半錠から使用して効果判定を行います。

予防治療

急性期治療の内服、点鼻等を週2回以上行う場合、頭痛発作に嘔吐を伴う場合は、予防治療を考慮します。
アミノトリプチン5~10mg投与やバルプロ酸等がありますが、バルプロ酸に関しては、多嚢胞性卵巣症候群や催奇形性の可能性もあり注意が必要です。
また漢方薬も使用する事があります。小学校前成人の三分の一程度、小学生で成人の三分の二程度内服してもらいます。
種類としては次のものがあります。

  • 抑肝散

    • 気持ちを落ち着ける作用があり、高齢者や月経困難症でもよく使われる漢方です。
    • 小児の片頭痛、緊張性型頭痛の両方に使われます。真面目で聞き分けの良い子に効果的です。
  • 半夏白朮天麻湯

    • 起立性調整障害によく用いられます。
    • 車や船酔いするような小児に用いられます。頭痛のタイプとしては片頭痛に使われます。
    • 成人でも、低気圧等で増悪する頭重感、めまいが出やすい方に使う事があります。
  • 小建中湯

    • お腹を良く壊す子供の頭痛によく使います。

慢性頭痛

小児でも慢性の片頭痛、緊張型頭痛へと進行する事があります。
多くは、小学校から中学校への環境の変化が起こる際に増悪したりします。
慢性化の原因としては、吉晴低血圧の関与。普段抑圧されている事へのストレス等があります。
学校や家で反抗期の無い子に特にその傾向があります。
内服だけではコントロールは難しく、生活スタイルや環境の改善が根本的な治療に重要となってきます。

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