大阪・梅田・天王寺でエムガルティ・アジョビ・アイモビーグでの治療なら『天王寺だい脳神経外科』

エムガルティ・アジョビ・アイモビーグの治療成績

内服治療での予防が効かなかった人の70％が効果を実感

ひどい片頭痛の70～80％の方が頭痛の軽減、痛みの緩和を実感
60％の方が頭痛の頻度（半分以下になった）の改善、強力な痛みの緩和
10～20％の方が
頭痛が完全消失

片頭痛の新しい治療薬（エムガルティ、アジョビ、アイモビーグ）カルシトニン遺伝子関連ペプチド（CGRP）

片頭痛の新しい治療薬（エムガルティ、アジョビ、アイモビーグ）カルシトニン遺伝子関連ペプチド（CGRP）って何？
当院でのCGRPの受容体作動薬の導入実績
エムガルティの作用、使い方、治療成績、お値段、副作用は？
アジョビの作用、使い方、治療成績、お値段、副作用は？
アイモビーグの作用、使い方、治療成績、お値段、副作用は？
エムガルティ、アジョビ、アイモビーグの選び方、メリット、デメリットまとめ
CGRP抗体受容体作用薬、エムガルティ、アジョビ、アイモビーグが効きやすい人の特長
片麻痺性片頭痛に、エムガルティは効くのか？
当院でCGRP製剤の使用にて見えてきた事
妊婦、授乳中の患者様にCGRP製剤は使えるのか？
エムガルティ、アジョビ、アイモビーグはどれくらいの期間続けるのか？

片頭痛の新しい治療薬（エムガルティ、アジョビ、アイモビーグ）カルシトニン遺伝子関連ペプチド（CGRP）って何？

CGRPは、中枢神経、心臓や血管など知覚神経の終末に存在するペプチドです。体組織への侵害刺激により末梢神経の軸索末端からCGRPが遊離され末梢血管を拡張させます。皮膚、筋、神経組織の血流調節に関与しています。この物質が片頭痛発作で大量に出る事が証明されています。

『エムガルティ・アジョビ・アイモビーグ』について動画でもご覧いただけます

［片頭痛発作でCGRPレベルが上昇する］

血管拡張作用
神経原性炎症（炎症メディエーターの産生・分泌促進作用）
疼痛伝達亢進作用（侵害受容ニューロンの直接興奮作用）

カルシトニン関連ペプチドCGRPが頭痛を起こす！？

片頭痛患者さんにCGRPを投与した試験では、9人中9人全員で頭痛が起こりました。プラセボでは1人です。

CGRPが片頭痛を起こす原因物質です。この物質の作用を無効にできれば頭痛は無くなります。

エムガルティ、アジョビ、アイモビーグは、CGRPが作用しなくなるようにするお薬です。

当院でのCGRPの受容体作動薬の導入実績

2024年10月時点ではCGRP製剤全体で約400～500名近い注射製剤の患者様が通院中です。

内服加療の片頭痛患者様では700～800名の患者様が通院中です。昨年までは、東京頭痛クリニック、品川ストリングスクリニック等と並び全国2位の実績となりました。
CGRP製剤、エムガルティに関しましては今年度の2024年は、導入使用実績は全国1位の症例数を誇っています。
アジョビ、アイモビーグに関しても富永病院、富永クリニックに次ぐ関西2位の使用導入実績を誇っております。
古巣である富永病院副院長・現日本頭痛学会代表理事の竹島多賀夫先生、脳神経内科副部長菊井祥二先生、頭痛センター副センター長團野大介先生、名だたる先生方に御指導、サポート頂けた事によりこのうような実績を作ることができました。この場をお借りして御礼申し上げます。

現在の所、95％以上の方に効果を実感して満足して頂いております。臨床試験ですと、効果が無い方が10％～20％報告されておりますので、当院では、適切なCGRPの適応が出来ているのではと考えております。また、現在当院では、治療実績等も認められゲパント製剤（経口CGRP製剤）の小児の治験も積極的に行っております。

2024年10月　院長　山田大

エムガルティの作用、使い方、
治療成績、お値段、副作用は？

エムガルティはCGRPに選択性と親和性を有し、くっつきます。それによりCGRPの作用を無効にしてしまいます。

※イメージ図

エムガルティの投与方法は？

エムガルティは、皮下注射になります。エムガルティは、初回に2本（ローディングドーズ※）、2ヵ月目から1ヵ月毎に1本注射します。初回のローディングドーズ投与によって、初回投与後に速やかに定常状態に到達することが期待でき、効果を注射後から実感し易くなります。その後は、月1回の皮下注射を継続します。

※ローディングドーズとは、初期において1回投与量や1日投与回数を増やすことにより、早期に目標とする血中濃度に到達させるための投与設計です。

エムガルティの適応となる人は？

国際頭痛分類を参考に十分な診療を実施し、前兆のある又は前兆のない片頭痛の発作が月に複数回以上発現している、又は慢性片頭痛であることが確認されている。
本剤の投与開始前3ヵ月以上において、1ヵ月あたりの片頭痛日数が平均4日以上である。睡眠、食生活の指導、適正体重の維持、ストレスマネジメント等の非薬物療法及び片頭痛発作の急性期治療等を既に実施している患者であり、それらの治療を適切に行っても日常生活に支障をきたしている。
本邦で既承認の片頭痛発作の発症抑制薬（プロプラノロール塩酸塩、バルプロ酸ナトリウム、ロメリジン塩酸塩等）のいずれかが、下記①～③のうちの1つ以上の理由によって使用又は継続できない。
- ①効果が十分に得られない
- ②忍容性が低い
- ③禁忌、又は副作用等の観点から安全性への強い懸念がある

上記の診断基準があります。アジョビ、アイモビーグと同じです。難しい事は考えず、片頭痛でお困りの方はご相談頂けたらと思います。頭痛があって、治療で良くならなければ使えます。

エムガルティでどれ位頭痛が減ったか？

反復性片頭痛患者を対象とした国内第Ⅱ相試験（CGAN試験）にて、エムガルティ120mg群では、1ヵ月あたりの片頭痛日数（6ヵ月間の平均）が3.6日減少しました。また、1ヵ月目から3.8日減少し、6ヵ月間効果が持続しました。

エムガルティ治療成績

平均で月の片頭痛の日数が8.6日から3.6日分減りました。その他の片頭痛予防薬で疼痛コントロールが困難な重い片頭痛の患者さんで片頭痛発作頻度が平均で半分以下に減ります。（6ヶ月目のデータです。）

片頭痛発作が50％減った人 67％
片頭痛発作が75％減った人 39％
片頭痛発作が全く無くなった人 21％

医療法人寿会富永病院頭痛センターでのエムガルティ治療成績データ

重度の頭痛で通院中の患者様152人でのケース

23％の方が、劇的に効いている、嘘のように楽、絶好調、信じられないと回答
32％の方が、かなり良い、とても調子がよい、とても楽
23％の方が、少しまし、楽になった、痛み止めでコントロールできるようになった。
22％の方が、あまり変わらない

上記のように評価しております。

エムガルティの治療費用

初回保険適応3割負担の場合	27,099円
2回目以降保険適応3割負担の場合	13,550円

当院では現在在宅自己注射での使用に限定しております。

そのため上記費用以外に一部処方箋料、自己注射指導料がかかります事ご了承ください。

エムガルティの副作用、エムガルティを使えない人

副作用
注射部位紅斑、注射部位そう痒感、注射後の痛み
使えない人
妊婦（妊活中の方はご相談ください）、18歳未満

アジョビの作用、使い方、
治療成績、お値段、副作用は？

アジョビはカルシトニン遺伝子関連ペプチド（CGRP）に選択的に結合し、2つのアイソフォーム（α-及びβ-CGRP）のCGRP受容体への結合を阻害するヒト化モノクローナル抗体です。CGRPへくっついてしまいCGRPが作用しなくなる効果があります。（エムガルティと同じtypeです）

アジョビの使い方

アジョビの特長として、エムガルティと違い、最初にローディングする必要がありません。そして、3本打てば、効果が3ヶ月持続します。通院回数を減らしたいかたに最適な投与方法になります。

アジョビの特長

ヒト化型モノクローナル抗体で、中和抗体産生が比較的少ない（効果が薄れにくい）。臨床試験では3つの片頭痛注射薬で耐性がつく人が一番少なかった。
3ヶ月周期での通院が可能（1ヵ月周期にでもいつでも変更可能）

アジョビの適応となる人は？

国際頭痛分類を参考に十分な診療を実施し、前兆のある又は前兆のない片頭痛の発作が月に複数回以上発現している、又は慢性片頭痛であることが確認されている。
本剤の投与開始前3ヵ月以上において、1ヵ月あたりの片頭痛日数が平均4日以上である。睡眠、食生活の指導、適正体重の維持、ストレスマネジメント等の非薬物療法及び片頭痛発作の急性期治療等を既に実施している患者であり、それらの治療を適切に行っても日常生活に支障をきたしている。
本邦で既承認の片頭痛発作の発症抑制薬（プロプラノロール塩酸塩、バルプロ酸ナトリウム、ロメリジン塩酸塩等）のいずれかが、下記①～③のうちの1つ以上の理由によって使用又は継続できない。
- ①効果が十分に得られない
- ②忍容性が低い
- ③禁忌、又は副作用等の観点から安全性への強い懸念がある

上記のような診断基準があります。エムガルティ、アイモビーグと同じです。難しい事は考えず、片頭痛でお困りの方はご相談頂けたらと思います。頭痛があって、治療で良くならなければ使えます。

アジョビの治療効果は？

片頭痛発作が50％減った人 60％
片頭痛発作が75％減った人 40％
片頭痛発作が全く無くなった人 15〜20％

エムガルティと半減する人の人数は変わりませんが、全く無くなる人や75％頭痛が消える人の率が高いようです。効く人はより効くといった印象でしょう。

アジョビの治療費用

保険適応3割負担の場合	1本12,400円

アジョビの副作用、アジョビを使えない人

副作用
注射部位紅斑、注射部位そう痒感、注射後の痛み（当たり前ですが・・・）
使えない人
妊婦（妊活中の方はご相談ください）、18歳未満

アイモビーグの作用、使い方、
治療成績、お値段、副作用は？

カルシトニン遺伝子関連ペプチド（CGRP）の受容体にくっついてしまい、CGRPが作用できないようにしてしまう、唯一のお薬です。

アイモビーグの投与の仕方

単純な4週間ごとの注射です。

アイモビーグの適応となる人は？

国際頭痛分類を参考に十分な診療を実施し、前兆のある又は前兆のない片頭痛の発作が月に複数回以上発現している、又は慢性片頭痛であることが確認されている。
本剤の投与開始前3ヵ月以上において、1ヵ月あたりの片頭痛日数が平均4日以上である。睡眠、食生活の指導、適正体重の維持、ストレスマネジメント等の非薬物療法及び片頭痛発作の急性期治療等を既に実施している患者であり、それらの治療を適切に行っても日常生活に支障をきたしている。
本邦で既承認の片頭痛発作の発症抑制薬（プロプラノロール塩酸塩、バルプロ酸ナトリウム、ロメリジン塩酸塩等）のいずれかが、下記①～③のうちの1つ以上の理由によって使用又は継続できない。
- ①効果が十分に得られない
- ②忍容性が低い
- ③禁忌、又は副作用等の観点から安全性への強い懸念がある

上記のような診断基準があります。エムガルティ、アジョビと同じです。難しい事は考えず、片頭痛でお困りの方はご相談頂けたらと思います。頭痛があって、治療で良くならなければ使えます。

アイモビーグの治療成績

片頭痛発作が50％減った人 60％
片頭痛発作が75％減った人 38.5％
片頭痛発作が全く無くなった人 19.8％

効果の程度は、アジョビとあまり変わらいように思います。

アイモビーグの特長

完全ヒトモノクローナル抗体である。理論上一番耐性が付きにくい。
受容体阻害薬なので効果発現までのスピードが速いはず。（データはありませんが・・・）
片頭痛治療薬の唯一の受容体抗体
完全ヒト型モノクローナル抗体で，注射部位反応が少ない
注射シリンジがばね式で一番痛くないかも？

アイモビーグの治療費用

保険適応3割負担の場合	1本12,400円

アイモビーグの副作用、アイモビーグを使えない人

副作用
注射部位紅斑、注射部位そう痒感、注射後の痛み
使えない人
妊婦（妊活中の方はご相談ください）、18歳未満

エムガルティ、アジョビ、アイモビーグの選び方、メリット、デメリットまとめ

エムガルティを選ぶ理由

薬価は最初の導入時に他メーカーの倍の費用がかかるのがデメリット。最初に2本使うので立ち上がりの効果が一番実感し易い。
アジョビを選ぶ理由

1ヵ月投与か3ヵ月投与が選べる。忙しくて長期処方希望の人にお勧め。耐性もつきにくい。
アイモビーグを選ぶ理由
- 完全ヒトモノクローナル抗体の為、打った部分の発赤などが少ない。唯一の受容体抗体。
- たまに便秘になる人がいる。元々便秘のある人には不向きかも。下剤使えば大丈夫ですが。

CGRP抗体受容体作用薬、エムガルティ、アジョビ、アイモビーグが効きやすい人の特長

最近の市販後の研究で上記に関するデータが明らかになってきました。
下記のようなケースにおいて効きやすいというデータが出ています。また、アップデートしていきます。

左右の偏りのある頭痛
痛み止めを乱用していた人
拍動性の痛み
頭痛に嘔吐症状を伴う人
トリプタン製剤への反応が良好

CGRP製剤（エムガルティ、アジョビ、アイモビーク）が良く効く人の特徴

エムガルティが効きやすい片頭痛の人の特徴は？

エムガルティが効きやすい人の頭痛には特徴があります。

片側性の片頭痛
拍動性の痛み
頭痛に嘔吐症状を伴う人
トリプタン製剤への反応が良好

CGRPmAb レスポンダー（ドイツ）

＜ドイツの1施設　260名の検討＞（Erenumab, Galcanezumab, Fremanezumab）

	Super responder （n=29 11%）	Non-responder （n=26 10%）
片側性	93%	72%
拍動性	93%	76%
悪心	100%	88%
嘔吐	48%	18%
慢性片頭痛	48%	92%
MHD	11.4±4.5	18.1±6.8
MMD	10.6±4.7	14.1±6.4
うつ	28%	65%
MOH	28%	58%
トリプタンへの反応	90%	60%

※ スーパーレスポンダー…3Mの時点でMHDが75%以上減少した患者

※ ノンレスポンダー…CGRP関連抗体薬を変更しても3Mの時点でMHDが25%以下の減少に留まった患者

Raffaelli B et al. The Journal of Headache and Pain 2023

上記論文にてエムガルティが効きやすい人の特徴が示されています。

よくエムガルティが効果が出る人の特徴に関しては、私自身も賛成ですがノンレスポンダーに入る精神疾患（鬱など）に関しては、異議があります。日本と海外での差なのか実際当院での使用実績からしますと、鬱を併発している人は多く、良く効いている印象です。
このような論文は最近多く発表されており、論文ごとに意見が異なりうつ等、精神疾患の併発に関しては今後さらに解明することがあると考えます。

フレマネズマブ（アジョビ）が効きやすい人の特徴

若年
MOH（薬剤使用過多）に陥っている期間が短い
元々の鎮痛剤の使用日数が少ない

Fremanezumab in the prevention of high-frequency episodic and chronic migraine: a 12-week, multicenter, real-life, cohort study （the FRIEND study）

背景

フレマネズマブは、無作為化プラセボ対照試験（RCT）において、発作性または慢性片頭痛（CM）の予防に有効で、安全で、忍容性があることが実証されている。日常的な状況で非選択患者における薬効を探索し、より高い一般化可能性の結果を提供するためには、実生活の研究が必要である。
本研究では、高頻度のEM（HFEM: 8～14日/月）またはCMに罹患した個々の実生活集団におけるフレマネズマブの有効性、安全性、および忍容性を調査する。

方法

本研究は12週間の多施設前向きコホート実生活研究である。
2020年7月28日から2020年11月11日まで、イタリアの9つの頭痛センターを受診したHFEMまたはCMに罹患した連続患者全員を検討した。適格な患者には、希望に応じて、フレマネズマブ225mg/月次または675mg/四半期の皮下投与を行った。
主要試験評価項目は、ベースラインと比較した9～12週目のHFEMにおける月1回の片頭痛日数（MMD）とCM患者における月1回の頭痛日数（MHD）の変化とした。
50%,副次的評価項目には、月次鎮痛薬摂取量（MAI）、数値評価尺度（NRS）、HIT-6およびMIDASスコアの変動、ならびに75%および100%のレスポンダー率が同時に含まれていた。

結果

67例の片頭痛患者が受けていた 1回の皮下フレマネズマブ治療を検討し、安全性解析の対象としたが、53例は12週間の治療を完了し、有効性解析の対象とした。
フレマネズマブはHFEMとCMの両方に有効であり、12週目にMMD（-4.6、p < 0.05）、MHD（-9.4、p < 0.001）、MAI （-5.7、p < 0.05; -11.1、p < 0.001）、NRS （-3.1、p < 0.001; -2.5、p < 0.001）、MIDASスコア（-58.3、p < 0.05; -43.7; p < 0.001）の有意な低下を誘発した。ヒット‐6はHFEM患者でのみ有意に低下した（-18.1, p < 0.001）。CMからエピソード性片頭痛およびMOからno-MOへの寛解は患者の75%および67.7%で生じた。
50%,12週目の反応率75%と100%は、HFEMで76.5%、29.4%と9.9%、CMで58.3%、25%と0%であった。若い年齢が陽性反応予測因子（OR）として浮上した 0.91; 95% CI 0.85～0.98、p 0.013）。試験治療下で発現した有害事象はまれであり（5.7%）、軽度であった。どのような理由で、患者がフレマネズマブを中止しなかった。

結論

フレマネズマブはRCTよりも実生活でより有効であると思われる。より若い年齢が潜在的な反応予測因子として浮上する。

J Headache Pain. 2022 Apr 9;23(1):46. doi: 10.1186/s10194-022-01396-x

院長山田による要約：FRIEND STUDY

イタリアでのアジョビ（フレマネズマブ）の実際の臨床での使用患者様の治療成績の分析の論文になります。頭痛の頻度、頭痛の片側性、年齢、随伴症状等と頭痛改善率をデータ化分析した論文です。

この論文のポイントをまとめると
フレマネズマブ（アジョビ）が効きやすい人は

若年
MOH（薬剤使用過多）に陥っている期間が短い
元々の鎮痛剤の使用日数が少ない

となっております。

その後、FRIEND STUDY2も発表されており、そこでのデータは

フレマネズマブ（アジョビ）の使用によってMOH（薬物使用過多）から離脱できる人は3/4以上であった。
慢性片頭痛患者様の8割がフレマネズマブ（アジョビ）投与にて発作性片頭痛へ頭痛日数が軽減した。

片頭痛は、CGRP製剤で若い頃からしっかり治療する事が必要という良いデータと考えます。MOHの方でも多くの方が当院で治療開始し、早期（1週間以内）に効果を体感しています。実際、効きが悪い方もいますが、6か月スパンの投与で粘り強く行うことで、効果が出る事もあります。

【2024年1月追記】

「片頭痛におけるFremanezumabの実臨床における長期（48週）有効性、安全性、忍容性の評価：多施設共同前向きFRIEND3試験からの知見」

Barbanti P, et al .Neurol Ther. 2024 Mar 7. doi: 10.1007/s40120-024-00591-z

序論

片頭痛は慢性化する神経疾患であり、従来の予防薬には限界がある。カルシトニン遺伝子関連ペプチド（CGRP）を標的とする薬剤の出現により、片頭痛予防が改善されている。欧州頭痛連盟のガイドラインは、抗CGRP mAbsによる治療を推奨しており、その有効性と忍容性の評価が進められている。

方法

イタリアの26の頭痛センターから、高頻度反復性片頭痛または慢性片頭痛の患者を対象に48週間の前向き多施設コホート研究を実施。参加者はフレマネズマブを月1回または四半期に1回投与され、主要評価項目として片頭痛や頭痛の日数、副次評価項目として鎮痛薬使用量、疼痛強度、HIT-6スコア、MIDASスコアなどの変化を評価した。

結果

533例が少なくとも1回のフレマネズマブ投与を受け、そのうち130例が48週間の治療を完了。主要評価項目では片頭痛および頭痛の日数が有意に減少（HFEM：-6.4日、CM：-14.5日）、副次評価項目でも有意な改善が見られた。副作用は軽度かつ一過性であり、治療中止はなかった。

ディスカッション

フレマネズマブは、片頭痛頻度、鎮痛薬使用量、疼痛強度、片頭痛障害を有意に減少させることが証明された。精神疾患や薬物乱用の合併患者でも高い有効性が見られた。実臨床での有効性と忍容性はRCTよりも高く、有害事象の発生率も低かった。

結論

フレマネズマブは、複数回の治療失敗を経験したHFEMまたはCM患者に対し、長期的に有効かつ忍容性が高い治療法であることが確認された。特に薬物過剰使用や精神疾患の併存患者においても、治療の有効性が示された。

院長山田による要約：FRIEND3 STUDY

FRIEND1,2と紹介してきましたが、今回FRIEND3 STUDYが発表されたので報告します。

ポイント

実臨床ではデータ以上に頭痛日数が減少する事を確認できた
精神疾患併存の頭痛患者様の頭痛でもよく効く
薬物乱用性頭痛でもよく効く

【2024年5月追記】

片麻痺性片頭痛にエムガルティは有効なのか？

片麻痺性片頭痛とは

上下肢の脱力と視野障害、言語障害、感覚障害を伴う片頭痛です。
運動障害の持続時間は、通常の前兆（aura）より長く、5分から72時間ほど継続する人もいます。家族歴を有することも多い疾患です。
片麻痺性片頭痛は以前は血管収縮に伴う麻痺症状が出現すると推測されており、トリプタン製剤（片頭痛専用急性期治療薬）が、収縮を助長し症状を増悪させる可能性がある為、禁忌とされていました。現在も大方できれば使わない方が良いとされていますが、意見が分かれるところです。

閃輝暗点などの症状に、エムガルティは有効なのか？

閃輝暗点はエムガルティの投与により改善します。
海外で閃輝暗点が改善した論文による報告が認められています。当院での使用実績の中でも多くの方が、閃輝暗点やAura（前兆）の改善を実感しております。

典型前兆

① 視覚障害（閃輝暗点等）
② 感覚障害（陽性症状：舌、顔面のチクチクした感じ、陰性症状：感覚鈍麻）
③ 言語障害（失語症状）

片麻痺性片頭痛の前兆

運動麻痺（脱力）

富永病院　團野大介先生による報告では、片麻痺性片頭痛患者様6名にエムガルティ投与後、4名に前兆（AURA）の改善6名中5名に片頭痛症状の改善を認めている報告があります。

エムガルティは片麻痺性片頭痛に対して比較的安全に使用が可能。
エムガルティ投与により片頭痛支障度の改善を認めた。
エムガルティ投与により6人中4人で頭痛とともに運動性前兆の改善を認めた。

Danno D. Headache 2023 in Press

その他、脳幹前兆を伴う片頭痛（意識レベルの低下、複視、耳鳴り、めまい、運動失調）や網膜片頭痛（視覚消失、閃輝暗点）に関しては現在、エムガルティが効果的なのかはわかりませんが、皮質拡延性抑制（cortical spreading depression：CSD）が関与している上記症状に関しては、エムガルティ（CGRP製剤）が効果的なのではないかと推測します。

当院でCGRP製剤の使用にて見えてきた事

① 3種類の薬剤の効果、特長等の違いに関して

基本的に、しっかり効いている間の効果の差に関しては実感するものはありません。

しかし、初回・2回打ちのエムガルティが1ヶ月時点での効果の減弱の実感が無いように他社製品と比較した際あるように感じられます（他社1本打ち製剤に関しては4ヶ月目以降でようやく安定して1ヶ月効果が継続するような印象です。院長個人的見解）

エムガルティ、アジョビ、アイモビーグはどれも在宅自己注射を当院では推奨しております。1ヶ月後の効果判定で問題なければ、2ヶ月分処方、その次は3ヶ月分処方が可能となっております。
通院の負担、診療費負担を減らす事ができますので、お忙しい方、確実な効果を狙う方にはエムガルティ、アジョビ、アイモビーグをお勧めしております。

② 片頭痛以外の頭痛に効果はあるのか

片頭痛の適応であり、片頭痛以外の使用は保険診療上はできません。

しかし、頭痛治療で様々な内服を使用し、『片頭痛の特徴もあるけど、この患者さん100％片頭痛とも言えないなー、あまり効果がないかもしれないな・・。』という診断が難しいケースでも数例使用した事があります。そのような方でも劇的に改善著効する事がありました。

しっかりと診断、患者様との相談の上、片頭痛の要素がある場合は使用したら劇的に改善する事があります。

③ 緊張性頭痛と誤診されている患者様

慢性片頭痛は多くの方が痛み方が変化しており、頭痛外来を語っているクリニックでも多く緊張性頭痛と誤診されている方がいらっしゃいます。
一度頭痛専門外来の受診を勧めます。

妊婦、授乳中の患者様にCGRP製剤は使えるのか？

妊娠と抗CGRP関連抗体薬（エムガルティ、アジョビ、アイモビーグ、エプチネズマブ）の安全性についての報告

当院に通院中の片頭痛患者様にも多くの方が女性であり、治療をしながら妊娠を希望されている患者様も多くいらっしゃいます。

片頭痛は妊娠可能年齢の女性の25％が罹患する疾患とされています。

これまでの経口予防薬のバルプロ酸ナトリウムなどは胎児への奇形のリスクの報告（NICEガイドラインより1）2）3））を元に妊娠中の服用について、なるべく服用することを推奨しない。などのアナウンスがされており、妊娠を考えている方への使用を躊躇することがありました。

2021年に発売された片頭痛に特異的な予防薬の抗CGRP関連抗体薬は当院でも使用実績が多く、高い有効性が期待でき、また同時に安全性の高い薬剤です。
一方で抗CGRP関連抗体薬の妊娠、胎児への影響については十分なまとまったデータが少なく、日本のオピニオンリーダーの先生方でも意見が分かれていました。

今回ヨーロッパからの286例のまとまった安全性報告の情報が新しく出たので、まとめてみました。

妊娠中のカルシトニン遺伝子関連ペプチド系を標的とするモノクローナル抗体の安全性プロファイル：VigiBase^®の最新の分析

Cephalalgia. 2023 Apr;43（4）:3331024231158083.

背景

妊娠中のカルシトニン遺伝子関連ペプチド（CGRP）システムを標的とする片頭痛予防モノクローナル抗体の使用に関する安全性データは限られています。

方法

2021年12月31日時点でVigiBase^®から取得した、エレヌマブ、ガルカネズマブ、フレマネズマブおよびエプチネズマブに関連する妊娠に関連する安全性報告の最新のファーマコビジランス評価。
主要結果として、CGRPシステムを標的とするモノクローナル抗体のグループ全体が考慮され、性別が考慮されました。報告オッズ比（ROR）を使用した年齢サブグループ不均衡分析が実施されました。

結果

286件の安全性報告が見つかりました。

エレヌマブについては116件（40.6%）、ガルカネズマブについては125件（43.7%）、フレマネズマブについては39件（13.6%）、エプチネズマブについては6件（2.1%）でした。

149件（52.1％）の安全性報告は妊娠に関連した薬物曝露のみを報告したが、137件（47.9％）には1つ以上の妊娠転帰も含まれていた。

母体転帰（n=64）、自然流産（n=63）、胎児成長制限（n=1）、未熟児（n=8）、新生児転帰（n=13）、および不十分な母乳育児（n=1）。母体、胎児、新生児への毒性の特定のパターンは観察されませんでした。
自然流産は、データベース全体（ROR 1.1、95%信頼区間、CI、0.8-1.5）、2018年以降のデータベース全体（ROR 1.3、95%、CI 1.0）と比較して、エレヌマブ、ガルカネズマブ、フレマネズマブ、エプチネズマブで不釣り合いに高い頻度で報告されていませんでした。 -1.8）、トリプタン（ROR 1.2、95%、CI 0.8-1.9）。

考察

エレヌマブ、ガルカネズマブ、フレマネズマブおよびエプチネズマブに関する妊婦の母体毒性、胎児毒性、新生児毒性に関する報告から、CGRPシステムを標的とするモノクローナル抗体全体による自然流産の増加の兆候は見られませんでした。

妊娠中の薬物の安全性に関する知識は限られており、臨床試験では妊婦が一般的に除外されるため、市販後の情報が重要です。CGRPシステムを標的とするモノクローナル抗体に関しては、妊娠中の安全性に関するエビデンスがまだ不十分です。

報告された安全性データでは、特定の母体毒性や先天性欠損の増加の兆候は見られませんでしたが、抗片頭痛治療の効果の不足が最も頻繁に報告されました。
自然流産の報告に関しては、モノクローナル抗体全体での増加は見られませんでしたが、特定の薬剤に関しては一部の報告がありました。

結論

VigiBase^®安全性レポートによると、妊娠中のエレヌマブ、ガルカネズマブ、フレマネズマブおよびエプチネズマブに関するこの最新の安全性分析では、母体毒性の兆候は示されませんでした。

引用文献

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院長山田による要約

妊娠中のCGRP関連抗体薬の最新の分析報告です。
症例数は多くはないですが、現状に報告からは母体毒性の兆候は示されませんでした。

（a）CGRPシステムを標的とするモノクローナル抗体に関する自然流産の安全性報告件数
（b）CGRPシステムを標的とするモノクローナル抗体に関する自然流産以外の安全性報告件数

一般社団法人日本生殖医学会ホームページより

上記報告には286例中、自然流産63例と記載があり、不安になられる患者様もいらっしゃるかと思いますが、報告の中にもあるように計算されたリスクの値で自然流産の増加は認められませんでした。

当院でも女性の頭痛患者様がCGRP関連抗体薬を服用されていますが、治療中に予定外の妊娠が発覚することも十分に考えられます。
そのような場合、妊娠発覚後に投与を中止しますが、上記報告によるとCGRP関連抗体薬による母体への影響は少ないと考察されているので、そこまで心配しなくてもいいと考えます。

これまで通り妊娠を計画される方には、CGRP関連抗体薬の半減期を考慮して、5～6か月前にCGRP関連抗体薬中断を推奨し、他の治療を検討していきます。

一般的に妊娠の経過とともに、非妊娠時と比較してエストロゲンの分泌量が100倍くらいまでが増加し、片頭痛の症状は軽快するとされています。
また、CGRP関連抗体薬は乳汁への移行もされると言われています。出産後の授乳については、患者様の頭痛発作の強度や日常生活への支障度によって、授乳を中断してCGRP関連抗体薬による治療を開始していただくことをお勧めする場合があります。

頭痛は女性に多い疾患ですので、妊娠などの女性における大切なライフイベントも考慮した治療を提案していきます。

【2024年4月追記】

エムガルティ、アジョビ、アイモビーグはどれくらいの期間続けるのか？

当院では全国TOPクラスのCGRP関連抗体薬の導入実績を誇っております。

いずれのお薬でも多くの患者様で片頭痛の改善が達成できており、今後も対象となります患者様には相談の上、治療開始を一緒に検討していければと思います。

治療開始の際に皆様が疑問に思われることが一つあります。それはこの治療はいつまで続けるの？ということです。

そこで今回はCGRP関連抗体薬の治療継続とお薬の卒業について解説したいと思います。

エムガルティ、アジョビ、アイモビーグはいつまで続けないといけないのか？

結論から申しますと、皆様が治療継続を希望される限りいつまでも続けても大丈夫です。

そしてある程度の良い状態が継続している場合は、お薬を中断しても片頭痛発作が起こりにくくなっている事があるので、一度中断して様子を見ると良いという事です。

これは日本より先行してCGRP関連抗体薬が発売されたヨーロッパの頭痛学会のガイドラインに記載されております。

日本の頭痛学会のガイドラインにおいても休薬を考慮すべき状況として

4、頭痛発作発現の消失、軽減等により日常生活に支障をきたさなくなっている。

と記載されております。

それではどの様な方が卒薬しやすいのでしょうか？

論文での報告を元にまとめてみました。

Predictors of sustained response and effects of the discontinuation of anti-calcitonin gene related peptide antibodies and reinitiation in resistant chronic migraine

背景・目的

片頭痛予防のためのガイドラインは、治療の適切性を再評価するために6～12ヵ月後に投薬を中止することを示唆している。
イタリア医薬品庁は、抗カルシトニン遺伝子関連蛋白質（CGRP）経路モノクローナル抗体（抗CGRP mAb）治療を12ヵ月の治療後3カ月間中止するための必須規制を定めた。
ここでは、耐性慢性片頭痛患者における抗CGRP mAbの中止と再治療の効果を評価し、持続的反応の予測因子を評価する。

方法

本研究は単施設前向きコホート研究であり、重度（≧3予防的治療に抵抗性）の慢性片頭痛患者44名（全員が投薬過剰使用）を登録し、12ヵ月間エレヌマブ（54.5%）またはガルカネズマブ（45.5%）で治療し、3ヵ月間治療を中止し、その後1ヵ月間再開した。

結果

全体的に、患者は中止の3か月間に悪化傾向を報告した。
月別片頭痛日数、鎮痛薬の使用日数、少なくとも1種類の鎮痛薬を使用した日数、50%以上の奏効率(月別片頭痛日数の低下)、および片頭痛障害評価点数（MIDAS）と頭痛影響試験6（HIT-6）の合計スコアは、ベースライン値よりも低いままであったが、治療12ヵ月目に比べて増加した。すべてのアウトカム指標は再治療の月中に再び低下した。
治療の再開基準を満たさなかった患者は、治療を再開した患者と比較して、ベースライン時の片頭痛障害評価点数（MIDAS）(p = 0.03)および頭痛影響試験6（HIT-6）(p = 0.01)スコアが低く、中止中の転帰指標が良好であった。

結論

ほとんどの患者において、抗CGRP 製剤の3ヵ月間の中止は、再治療により急速に回復した進行性片頭痛悪化をもたらした。しかしながら、治療前に生活の質の指標が良好であったと報告した患者の4分の1では、中止中に持続的な有益性が示され、再治療の必要はなかった。

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CGRP関連抗体薬1年間の使用経験　― 特に卒薬例の特徴について ―

要旨

2021年4月から2022年6月までに637名の片頭痛患者にCGRP関連抗体薬を投与した。
6ヵ月以上投与した患者はガルカネズマブ（GL）222例、エレヌマブ（EL）180例、フレマネズマブ（FR）174例であった。

月間片頭痛日数の50％減少はGL63.0％、EL59.8％、FR59.6％で、重篤な副作用は認めなかった。
61例で片頭痛が改善し、抗体薬を6ヵ月以上中止（卒薬）できたが、22例が再開した。

卒薬例は、反復性片頭痛、片頭痛罹患年数が少なく、治療開始前内服予防薬が少ないという特徴があった。

CGRP関連抗体薬は、片頭痛患者の頭痛頻度・程度を減らし、安全性が高い治療であることが、実臨床において確認された。

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院長山田による要約

【1つ目の論文より】

ガルカネズマブ（エムガルティ）またはエレヌマブ（アイモビーグ）で12ヵ月間治療後に治療を中止したCM（慢性片頭痛）患者44人において、3か月後に基準 ①片頭痛日数≧8日 ②MIDAS≧11 を満たす場合に治療再開したデータです。

非治療再開者群と再治療再開者群の比較データ

(a) 月1回の片頭痛日数(MMD)研究中の頻度
(b) 頭痛影響試験6(HIT‐6)質問票合計スコア
(c) 片頭痛障害評価(MIDAS)

非治療再開者群 12例（27.3％）、治療再開者群 32例（72.7％）であり、4分の1の患者（非治療再開群）は中止後も安定した。

こちらはイタリアの報告ですが、27.3%の患者さんで治療中止後も症状が安定していたと報告があり片頭痛が治る患者さんがいるのではと物議を醸した論文でした。（片頭痛が治るという結論は出ていません。）

この論文は片頭痛が重度の患者さんのみを対象としており、また12ヵ月時点で強制的に治療を終了した患者さんの結果でした。

その後に、国内で実際の治療患者さんを解析した素晴らしい報告も発表されました。

【2つ目の論文より】

こちらは品川ストリングスクリニックで治療された637名が生活の支障がほぼなくなり、同意を得た患者さんが一度治療を中断して、良い状態が維持できているかを確認しました。
ベースラインが反復性片頭痛の状態である事、罹病期間が短い事、使用経験のある予防治療薬が少ない事が、卒薬できる予測因子として報告されました。

これらの報告よりCGRP関連抗体薬の継続期間（お薬の卒業）についてまとめると、