前庭性片頭痛とは?
前庭性片頭痛は、めまい症状が起こっている際に片頭痛発作を起こす疾患です。
前庭性片頭痛の最新の治療
【2024年8月 追記】
前庭性片頭痛の治療方法
原則、片頭痛治療に準じた治療方法を行います。
めまいに対する加療
めまいに対する治療には内服加療と前庭リハビリテーションがあります。
めまいの原因は多岐にわたり、耳鼻科、脳神経内科、脳神経外科、循環器内科、内分泌内科、婦人科、精神科、眼科、整形外科、小児科などが関わってくる。ここでは、めまいを6つの原因に分けて、それぞれの原因に効果のある漢方薬をまとめます。
1.末梢性めまい
良性発作性頭位めまい症、メニエール病、前庭神経炎、突発性難聴などが含まれ、激しいめまい発作の場合は点滴治療などが優先となるが、無効であったり、再燃を繰り返すようであれば漢方薬を使用します。
-
苓桂朮甘湯
- 末梢性めまいの第一選択薬である。一般的には回転性めまいに用いられ、動悸を伴うとより使いやすい。特にメニエール病に対して著効を示し、一般的なめまい症の患者に用いたところ、6割以上の患者で改善を認めたとの報告もあります。ただ「甘草」が含まれているため、むくみや血圧上昇には注意が必要です。当院でもめまいの患者様に第一選択で使います。
-
五苓散
- 乗り物酔いしやすく、むくみやすいタイプに用いられる。特に、気圧の変動でめまいが起こりやすい場合にはよいとされております。慢性硬膜下血腫に対しても非常に有効であり、脳外科では馴染みの深い漢方薬です。
-
柴苓湯
- メニエール病患者に用いたところ、6割以上の患者で改善を認めたとの報告があります。柴苓湯は、五苓散に小柴胡湯が加わった処方であるため、抗炎症作用や抗ストレス作用が期待できることから、前庭神経炎や突発性難聴に対しても用いられます。
2.中枢性めまい
脳血管障害(椎骨脳底動脈循環不全など)、脳腫瘍(聴神経腫瘍など)、変性疾患(脊髄小脳変性症など)、炎症・脱随疾患(脳幹脳炎、多発性硬化症など)によるめまいを示しています。西洋医学的な治療を行っても、めまい感やふらつきが残る場合があり、漢方治療でもなかなか難渋する場合があるが、軽減がみられることもあります。
-
真武湯
- 歩行が不安定で、雲の上を歩いているような浮動性めまいに用いられることが多い。冷えがあり、軟便傾向の人にはより使いやすい。暑がりな人や便秘傾向の人に用いると、かえってのぼせたり便秘になったりするので注意が必要です。
-
釣藤散
- 頭痛の項でも述べたが、高血圧傾向で、頭重感や耳鳴が伴うめまいに用います。
-
黄連解毒湯
- 頭痛の項でも述べたが、高血圧傾向で赤ら顔の、イライラしやすい人には効果的です。
3.起立性低血圧、起立性調節障害
立ちくらみの症状である。明らかに血圧低下を認めるのであれば昇圧剤の適応も考慮すべきであるが、そこまではいかないレベルであれば漢方治療の適応となります。
-
半夏白朮天麻湯
- 気圧変動で起こる片頭痛や、小児の頭痛の項でも述べたが、起立性低血圧や起立性調節障害によるめまいに用いられる。一般的なめまい症の患者に用いたところ、5~9割の改善を示した報告もあります。
-
苓桂朮甘湯
- 半夏白朮天麻湯が適応となる人ほど天候による影響は少ないが、立ちくらみや動悸の症状を示す人に用いられることがあります。
4.月経前症候群、更年期障害
女性ホルモンの分泌量の変動により、月経周期や更年期に関連して起こってくるめまいでです。ホルモン療法を行ってもあまり効果が望めない場合も多く、漢方治療の適応となります。
-
加味逍遥散
- 更年期のほてりや異常発汗に使用する薬として有名であるが、更年期のみならず、月経前症候群の人に認められるめまいにも用います。
-
女神散
- 加味逍遥散が適応となる人よりものぼせやイライラ、更にめまいが強い場合に用いられます。
-
当帰芍薬散
- 冷え、むくみがあるような月経前症候群のめまいに用いられます。
5.冷え
冷え症の場合、ふらつきやめまい感が出現することがある。特に高齢者にみられる場合が多く、様々な検査をしても何も異常を認めず、西洋薬を選択できないときには、漢方薬を用いてみる。
-
真武湯
- 中枢性めまいの項にも述べたが、浮動性めまいに用いられる。ふらつくために、階段を下りるときには手すりを持たないと降りられないと訴える人にも良い。
-
八味地黄丸
- 真武湯が適応となる人より、腰痛や(夜間)頻尿の訴えが強く、腰から下のだるさがあるめまいに用いられる。「地黄」が含まれているため、胃もたれには注意する。
6.心因性めまい
神経質傾向であったり、神経症の要素があったりする場合に認められるめまいである。抗めまい薬ではなかなか改善されないことが多いため、抗不安薬などが処方されることもあります。
-
抑肝散加陳皮半夏
- 落着きがなく、神経が高ぶって不眠傾向の場合に用いられる。
-
半夏厚朴湯
- 心配性で、気が欝うつ々うつとして、のどや胸の痞つかえ感や予期不安があるような場合に用います。