顔面けいれんについて
顔面けいれんとは
顔面けいれんは顔の半分が自分の意志とは関係なくけいれんする病気です。
患者様は、目の下が、ぴくぴくするという主訴でよく病院に来院されます。ストレスや、睡眠不足、疲れ、目をぎゅっと閉じる動きなどによる顔面筋の動きで誘発されます。顔面けいれんは、多くの場合、目の周りから始まり、徐々に口元へ広がっていきます。疲れた際、誰でもまぶたがピクつく事がありますので初期には気づかないことが多くあります。徐々に進むと、口角（唇の横）やあごの下の筋肉もけいれんするようになります。頻度は、最初は緊張したときなど時々だけですが、徐々にけいれんしている時間が長くなっていきます。やがて一日中起こるようになることあります。顔面けいれんの主な症状目の周りのピクピクとする症状から始まり、頬、額、口、顎へと症状が広がります。重症になるとけいれんが持続し、目や口周囲のけいれんが同時に起こり、顔が歪むことがあります。また、長期間、けいれんが続いていると、けいれんの無い時には顔面麻痺がみられることもあります。接客業等を行っている方にとっては非常にストレスを感じる疾患です。お気軽にご相談ください。
顔面けいれんの症状
- 目の周りがぴくぴくする。
- ほほがピクピク動く。
- 唇の横も動く。
- 顎にしわを寄せる動きになる。
顔面けいれんの主な原因
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血管が神経の一部を圧迫
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脳腫瘍
顔面痙攣の最も多く見られる原因は、頭蓋内の血管による顔面神経の圧迫です。その他には、顔面神経を腫瘍が圧迫して痙攣を誘発させていることもあります。ごく稀ではありますが、強いくも膜によって圧迫されているだけの事もあり、開頭しただけでAMR（手術中に顔のぴくぴくを感知するセンサー）が消失し、治る事があります。
顔面神経は脳幹という脳の中心の部分から出てきています。脳幹正中下部側面付近に顔面神経の核があり、顔面神経の核から顔面神経が出て脳槽（cistern）を通り内耳洞内に入り頭蓋骨の中を通ります。その後、それぞれが分岐し各種コントロールしている顔の筋肉、顎の筋肉、涙腺、鼻の分泌などに細い神経を出します。その顔面神経の根本の脳幹から出てきている部分REZ（僕ら脳外科医が、神経を圧迫してピクピクが起こる場所の事を言います）に動脈、又は静脈がぶつかっており神経を圧迫していることで、血管の拍動と共に神経が刺激され顔面の筋肉が不随意（無意識）に収縮して顔面のけいれんを起こしているのです。
また、顔面神経の周囲に腫瘍があり、腫瘍によって顔面神経を圧迫する事により刺激が伝わり痙攣を起こすこともあります。
顔面けいれんの診断
脳神経外科医による診断が必要になります。顔面のけいれんは明らかな症状で分かりやすいので、顔が無意識に収縮するような症状がある場合はお気軽にご相談ください。本人はあまり気にせず、治療可能だと知らないで、ずっと受診しないで様子を見てしまっている場合がよくあります。脳腫瘍でしたら、命に係わる危険があるため、早期受診が必要となります。
診断はMRIによる顔面神経周囲に並走、またはループを形成する血管の存在。顔面神経の起始部の脳幹部への血管圧迫所見。又は腫瘍の存在を確認します。ごく稀にMRIも分かりにくい症例があるため、脳神経外科専門医の診断をお勧めします。
顔面けいれんの治療
- 内服治療
- ボトックス治療
- 手術
内服治療
カルバマゼピン（テグレトール）などの抗痙攣薬を用いてけいれんを緩和させる治療もあります。僕の外来でも行っている手ごたえとしては、効く人は結構聞きます。根本的な治療ではない為、完全にけいれんを取り除くことは難しいですが、頻度が減り満足して頂けることもあります。神経質に気にされない方には良い方法です。
しかし、カルバマゼピンとはてんかんのお薬で副作用があります。具体的な症状としては、眠気、ふらつき、または薬が体に合わない場合感機能障害を起こすこともあります。
ごくまれに、酷い薬疹を起こす事もあります。少量から調整していきます。
ボトックス治療
顔面のピクピク動いている筋肉を弛緩させて動かなくさせてしまう治療法です。
最近では、しわ取りで美容外科でもよく耳にすると思います。非常に細い針で皮下の表情筋にボトックスを注射します。針が細いのでそんなに痛くはありません。メリットは、ぴくぴくが翌日から減少する事です。多く打ちすぎると、筋肉が弛緩してしまい顔が左右で変わる為、調整が必要です。当院でも行っている為、お気軽にご相談ください。
手術
MVDと僕ら脳外科医の中では言う手術です。耳の後ろの頭蓋骨に穴をあけて、行う手術です。当院で顔面けいれんをご相談頂きましたら、顔面けいれんが得意な医師をご紹介しますのでお気軽にご相談ください。
